不忘閣は宮城の蔵王山麓にある、「日本秘湯を守る会」の温泉宿です。
なんと!約7年ぶりの再訪になります。
今回は温泉に向かいがてら、(珍しく?)神社仏閣巡りではない観光もしてきましたので、そちらの様子をお伝えします。
出発は5時。寝ぼけ眼をこすりつつ、ハンドルを握ります。
しかし空はもう明るい…。
東北道を安全に飛ばすことしばらく、那須高原SAで朝ご飯。
まずそばつゆを一口。普通においしー。
コロッケといっても、厚さ1cmちょいのやつやろ~と舐めてかかっていたのですが、箸で持ち上げてびっくり!重い…厚い!厚さ2cmくらいあるコロッケでした。那須豚が入っているのかどうかはよくわからないずっしりポテト具合でしたが、コーンが入ってました。違うけど、クリームコロッケみたい。
そんなコロッケの存在がすごくて、朝からかなりお腹いっぱいになりました。
母も同じものを食べたにも関わらず、甘いものは別腹とばかりにソフトクリームを買ってました。
一口もらいましたが、ソフトクリームが濃厚で、美味しかったです。
その後は猪苗代磐梯高原ICで下車し、近くにあった道の駅猪苗代をひやかし、猪苗代湖の畔に佇む、野口英世記念館に。
昔の家ってこんな感じなんですね。台所と言っても、水道が通ってるわけでもないし、釜戸だって一つだし、家事も大変そう。
館内の展示には、野口英世の功績に関するものや、趣味のものなどいろいろ並べられていました。書や油絵など、なかなか美味かったです。
小さい頃、野口英世の伝記を読んだはずなのですが、あんまりはっきり覚えてなくて、私の中では黄熱病の治療に貢献した人くらいのイメージでした。
でも、梅毒の病原体を発見したのは…記憶にないなぁ。病気が病気なだけに、子供の向けの伝記には、あんまりはっきり書かれていなかったのか、単に覚えてないだけか…。
で、この記念館には、偉人的パーフェクト野口英世しか展示されておらず、人間としてクズなんじゃないかこいつ、と思わせる野口英世のもう一面については、完全に無視を決め込んでました。
女遊びが激しかったり、金目当ての結婚詐欺したことなどは、どこにも。
そのあたりも、包み隠さず展示してくれたら面白いのに。人間としてダメだけど、その反面、すごいことやってたんだなーって。
なんかその方が、ある意味別の角度から尊敬できる気も。
その後は五色沼へ。
あまり頻繁には出ないバスの時間を考慮して、今回は裏磐梯物産館に駐車して、五色沼入口までバスへ。五色沼入口(ビジターセンター)→裏磐梯産物産館のルートで歩きます。
ビジターセンターからだとゆるく登りになり、裏磐梯物産館から歩き始めると、緩やかに下りになります。
登山みたいなきつい段差はなく、軽いトレッキングレベルです。
中でも一番の見所は、青い沼でしょう。
写真だとあまり青く見えませんが、実際はもっと綺麗な青色をしていました。
太陽の位置によっても、見え方がだいぶ変わるようです。
今回は足腰が弱ってきている両親と歩いたので、2時間ほどののんびり散策になりましたが、普通の人なら1~1.5時間で歩けると思います。
物産館まで戻ってきました。
中にラーメン屋があったので、そこで軽く昼食。
私は塩ラーメンを食べたのですが、あっさりしていながらも味わいがあるスープで、思いの外美味しかったです。チャーシューも柔らかい。
一口喜多方ラーメンも食べましたが、こっちはこっちで美味しいですね。しっかりした味付けで、ちょっとジャンクな感じもする。どっちもおいしかったです。
これからようやく、宿に向かいます。
まだ裏磐梯なのに、蔵王の麓まで。
途中で渋滞に巻き込まれたりし、宿からは、申告したチェックインの時刻からだいぶ過ぎちゃってて、運転中に電話が来たりと…。
17時ちょいすぎに、ようやく宿に到着しました。
時間的に余裕を見ていたスケジュールだったけど、私の見立てが甘かった~。
チェックインが遅いと、第二駐車場に回されると口コミに書いてあったけど、そうなりましたw
もともと、建物の周りに車を置く感じなので、駐車場のスペーは狭いです。
不忘閣の入口は、ここ宿?っていうくらいのシンプルさ。
入口には豪華さは全くありませんが、中にも豪華さはありません。
この宿はそこがまたいいのです。
仲居さんが出てきて、チェックインの手続きをした後、宿について丁寧に説明をしてくれました。
明日の朝8:50からは、宿内の建物で、伊達のお殿様が泊まった御殿のツアーがあるそうなので、そちらも参加してみることに。
私達が今回泊まったのは、西別館の「同心の間」。今回も西別館です。西館のほうが、お風呂に行くのも食事に行くのも、圧倒的に便利です。
不忘庵のお部屋からの移動は毎回70~90段の上り下りが必要になるので、足腰の弱い人は特に西別館がいいです。
貸切風呂が空いているかどうか、フロントにある札を確認しに行くにも、西別館なら10秒で確認できますが、不忘庵だとそうは行きません。
何度も温泉に入りたい人にも、西別館はおすすめです。
どうですか、この味わいしかない趣ある景色。
写真右上にちらっと見えている建物は、今ではこの宿の資料館になっていますが、昔はそこに伊達のお殿様も泊まっていたんだそうです。
窓の鍵がネジ締まり錠という、かなりレトロな造り。
今の子知らないでしょ、これ。というか、私が小さかったときにも既にレアだったですよ。
もちろん、網戸もない。よく見たら、上の方はピッタリ閉まらず何ミリか隙間が空いてる。夏は小さな虫が入ってきそうだし、冬は隙間風で寒そうな感じ。
もちろん、暖房は完備されてます。
部屋の畳が擦り切れてたり、壁に二センチくらいの昆虫(害になるやつじゃない)が張り付いていたりしましたが、刺したりしない限り問題はないので、チェックアウトまで一緒に過ごしました。
建物はとても古いのですが、肝心の水回りは新しいので、心地よく過ごすことができます。
冷蔵庫の中に入っている瓶ビールは有料です。
おふとんを敷いてくれる時には、氷水のポットを持ってきてくれました。
ひげそりはここには用意がなく、フロントに置かれていました。
ウェルカムお菓子は、前もこれだったような気がする!
竹皮に平らなゼリーが挟まれているやつ。ほんのり甘くて美味しいです。
食事前にお風呂にいかねば…!と、まずは御殿湯小へ。
御殿湯大と小だけに洗い場があって、あとの温泉はすべて身体を洗う場所がありません。なので、ここで身体をゴシゴシ洗ってから、大湯へ。
大湯と御殿湯は時間によって男女入れ替わりで、大湯は女性は夜の8時までと、翌朝の8時からという…。
つまり女性は、夕食前に入らなければ、翌朝8時以降…なわけですが、明日の8時からは朝食で、更に8:50のツアーに参加するとなると、10時チェックアウト直前しか入るチャンスがないわけで…!
遅い時間に来ると、大湯に入れる時間が少ないっ!なんてことっ!
蔵湯より好きかもしれない大湯…これは今入るしかない!
身体も洗うのもそこそこに、濡れた身体に服を引っ掛けて大湯へ移動。
こちらの湯船は、江戸時代から使われていたものなんだそうで。
仄暗い中に、どばどばとお湯が掛け流されている大湯の雰囲気が好きなのです。
でも…前より明るくなった…?
前回来たときは、もっとほの暗くてムーディーだったような気が…?
不忘閣のお湯の温度は絶妙で、熱すぎず温くもなく、しばらく入っていると気持ちよくぽかぽかと温まってきます。
結局大湯に入ったのは一回だけでした。
続いて貸し切り湯の蔵湯。
蔵湯と新湯はフロントに札があれば、それを持っていって貸切風呂の手前に置いて、入ることができます。
蔵湯も新湯も、札を置いてから少し歩きます。
大きな蔵の中に、どーんと一つお風呂があります。
だだっ広い蔵湯に一人で入るなんていう、贅沢もできます。
気持ちいい…!けど、広すぎて自分一人ぽつんとしていて何か落ち着かない…!という人も、きっと私だけではないはず。
そしてもう一つの貸切風呂、新湯。
こちらは、札を置いてから階段を降りていきますが、まだリフォームして間もないのか、通路は一面白木でできています。
木の香りが漂う廊下。階段を降りればこちらはこちらで、雰囲気のある佇まい。
こちらは蔵湯と比べてコンパクト。周囲は新しいですが、このお風呂自体はやはり江戸時代からのものなんだそうです。
めっちゃ落ちつく!
いいなー、ここ。一人で温泉入るには最高の空間かも。
部屋の畳が擦り切れてたりして、直せばいいのに…ってちょっと思ったけど、まずは宿の売りである温泉周りのメンテナンスにお金かけてて、そういうのは結構な額になるだろうし、部屋とかは後回しになるのも仕方ないのかも。
と、なんとなく納得しました。
貸切風呂といえば、もう一つ。
札とか必要なくて、ドアがあいていれば自由に入れる半露天みたいな貸切風呂があります。
まだ虫も少ないし、外は適度に涼しいし、今の季節にちょうどいい温泉です。
温泉を楽しんだ後は、休憩スペースへ。
資料展示スペースにもなっていて、昔の品物が色々と飾られています。
ここで、お茶などがいただけるのですが、日本酒もサービスされているのが嬉しいところ。
日本酒がいただけるはず、なんですが…。
私たちが飲もうとしたときには空瓶になっていて、辛うじて一口飲めただけでした。
係の人に聞いたところ、本日分はこれで終了だそうで、遅くチェックインすると湯上り酒を飲みっぱぐれたりもするようです。無念……。
ちなみに以前はお酒のおつまみに、こんにゃく田楽が用意されてたりしましたが、今は柿ピーだけになっていました。
夕食は時間帯が選べて、後半の19時から。
二階のお食事処でいただきます。
左下の二つが先付で、帆立うの花和え、蓮豆腐。右の酢の物は蛍烏賊酢味噌掛け、右下は苺わいんです。
苺わいんは、イチゴの甘い香りにほんのり甘いワイン。
酢味噌は辛子が結構効いていて、いいアクセントになってました。
右上から時計回りに、針魚甘酢漬け、穴子八幡巻、三色花見団子、蝶々たまご、牛煮凍り、しどけ浸しになります。で、中央もみじの下に小鯛桜葉寿しが隠れています。
一つ一つ、ちょこちょこと色んな品が出てくるのって、贅沢な気分なります。牛の煮凍りって初めて食べました。味が染みてて美味しかったです。
蝶々は黄身と白身のツートンカラーになっていて見た目も綺麗。
色どりって大事ですね。
こういったものをつまみながら、飲みたくなるのはやはり日本酒ですよね。
もちろん、注文してあります。
飲み放題ならともかく、普段居酒屋では安パイな日本酒しか頼まないので、旅先で飲む地酒は、新しい出会いとなることが多いです。
どちらも飲みやすいのですが、あたごのまつの方が少しクセがあって、これ単体で楽しむ方が美味しさを楽しめる感じ。
蔵王はさらっと飲めるので、こちらは食事と合わせて飲むのにちょうどいいお酒だと思います。
甘エビが大きくて甘い~。北寄貝は久しぶりに食べたかも。こういった山麓にある旅館ではよく出てて来る鱒ですが、こちらは蔵王のご当地鱒のようです。
桜海老の上品さに、白きくらげの滑らかさがあってます。
このお椀の蓋の内側には、伊達家の家紋が入っていました。
こちらの十割蕎麦を一口食べた途端、母が「そばの香りが口の中に広がって、おいしい!」と絶賛。蕎麦にはうるさい母が、ここまで気に入るのは珍しいです。
こちらのお蕎麦、近くの川音亭のお蕎麦で、一手間かけた寒ざらし蕎麦なんだそうです。寒ざらしにすると、あくが抜けて甘みが出るということです。
お腹一杯だと言っていた父も、結局ぺろりと平らげていました。
煮物の味付けもいいです。
前回来た時は、食事に関してはそこまで印象がなかったのですが、あれっ?今回は美味しい…。料理長は変わってないようですが。
昔はまだそこまで旅館とか行ってない頃だったから、色々と分からなかったのかなぁ…?
母もみんな美味しい~と喜んでました。
もうだいぶお腹いっぱいになってきましたが、まだまだ料理は続きます。
こんなにたっぷり料理が出てくるのも、なかなか贅沢なことです。
大きな切り身が出てきたらどうしよう…と思っていたら、ちょうどいい大きさでした。よかった~。ミニサイズの蛤も、ぱくっと食べられます。
鍋は好きな時に火をつけていいとのことだったので、ご飯が出てくる少し前に着火。牛肉も柔らかかったです。
こちらは山菜の天ぷら。
お腹が~お腹がーと、思いつつも、カレー塩のスパイシーな香りに誘われて、胃袋に収まってしまう不思議。ここでカレー塩とは、分かってますね。
お品書きには、「茶碗蒸し」としか書かれていませんでしたが…。
食べてみると、透明な細いものが入ってます。
これはまさかフカヒレでは!?
仲居さんに聞いたら、気仙沼のフカヒレだそうです。
しれっと高級食材が入ってる…!
宮城も米どころ、ご飯はもちろんいうまでもなく、浅利の身も大きくてぷりぷりしていて美味しいです。
最後はデザート。
色々と食べ進めてきて、ようやくここまで来たか!という感じです。
プリンには刻んだ桜の葉が入っていて、いいアクセントになっていました。
家族みんな完食。いつもは何かを残す父まで全部食べきったあたり、美味しかったみたいです。
ごちそうさまでした。
仲居さんは新人さん含め何人かが給仕してくれましたが、手慣れた仲居さんがニコニコテキパキ、新人仲居さんをサポートしつつおもてなししてくれました。
翌日。
翌日は天気が悪いと予報では出てましたが、ちらりと晴れ間も見えたり。
今日は朝ご飯を食べた後、写真の右上に見える建物の、館内ツアーに参加します。
朝ぶろなどを楽しんだ後は、朝ごはん。
朝ごはんもそこそこ量がありました。あったけど、完食。
がんもどき、味が染みてて美味しかった~。
食後軽く休憩して、館内ツアーに参加。
伊達のお殿様の品物や、不忘閣を訪れた文豪たちの書がのこされていたりで、不忘閣の歴史を感じさせる品を、色々と見ることができます。
山本周五郎はここで「樅の木は残った」の一部を執筆したそうです。
川端康成や、与謝野晶子の書も残されてました。みんなここの温泉を楽しんだんですね。
それから、ここの「不忘閣」という名前ですが、これは伊達政宗が命名したんだそうです。忘れられないほど良いところであると。
そう聞くと、ここの歴史を深く感じますね。
その後宿をチェックアウト。
久しぶりの訪問でしたが、前回の訪問にも増して、いい宿でした。また訪れたいですね。15時のチェックイン時間になったらすぐに宿に入って、温泉を心行くまで楽しむのが一番です。
ご飯も品数たっぷりでおいしくて、文句のつけようのない宿です。
サービスに関しては、人がそこまで多くない中、一生懸命やっているような印象でした。
そういえば、最近は秘湯を守る会の宿でも、技能実習生なのか日本人じゃない人を見かけるようになりましたが、ここは珍しく日本人だけのようでした。今時珍しいですね。私が見た時、たまたまそうだっただけかもしれませんが。
チェックアウト後は、仙台城跡へ。
有名なアレを見に行きます!
私の世代だと「梵天丸も、かくありたい」とか呟きたくなります。
この青葉城って、天守閣がなかったんですね。資料館を見て知りました。
お城=天守閣みたいなイメージだったので、意外でした。
その後は松島行こうかと思ったけど、時間がなかったので、帰路がてら、東北サファリパークへ。
まずはその前に菅生PAでお昼ご飯。
昨日は塩で、今日は味噌ラーメン。
家ではあまりラーメンを食べないので、たまにはいいでしょう。
その後二本松ICで下車して、東北サファリパークへ。
入園料は大人一人3,100円
野生動物のエリアを車でめぐるのですが、口コミによるとここのサファリパークは自分の車で回るより、レンタルしたほうがいいとのこと。
なので、中で車は借りてパーク内を巡ります。
ゲート内に入ると、まずはライオンエリアで、こちらは車を停めてはいけないということで、次のゲートまで、のんびりと寝そべるライオンたちを眺めながら、のろのろと車を進めます。
草食エリアゾーンに入ると、車は停めることができ、窓を10センチくらいあけて、近づいてきた動物たちに購入した餌(1,000円)を与えることができます。
これがまたすごい。
あっという間に動物たちに車を囲まれ、一回餌を与えた動物たちも、もっとくれもっとくれと、車を追いかけてきます。
中には、餌が欲しいあまり、車に前足を乗っけてきたり、体当たりしてくる個体も。時々ゴンゴンと音がします。
これは確かに、自分の車だとボコボコになってる可能性があります。レンタカーにするのが吉です。
草食動物エリアの方が広くて、中間ゲートでは追加の餌も販売しています(500円)。なかなかの商売上手。母はそこでも餌を購入していました。
サファリパークエリアを楽しんだ後は、展示されているホワイトタイガー等を眺めたり…
ふれあい広場では、餌のダイス状のリンゴ(500円)を買うと、中にいるおサルたちにあげることができます。
猿といっても、かわいいワオキツネザルやエリマキキツネザルで、特にエリマキキツネザルは人懐っこくてかわいかったです。
時間の都合で園内全部は回り切れなかったけど、動物と触れ合うのが好きな人には、楽しめるところです。
その後は自宅まで安全運転。無事に家に到着しました。
久しぶりに神社仏閣ではない観光でしたが、それはまたそれで楽しかったです。
不忘閣、とってもいい温泉宿なので、是非皆さんも一度行ってみてください!
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