素朴な値段なのにお洒落なご飯!美しく青みを帯びた濁り湯の宿【高湯温泉・静心山荘】

素朴な値段なのにお洒落なご飯!美しく青みを帯びた濁り湯の宿【高湯温泉・静心山荘】

高湯温泉は福島の中通りの北部、山形県にもほど近い場所にある温泉地。山形の蔵王温泉、白布温泉と並んで奥州三高湯と呼ばれている歴史ある温泉です。
400年前に発見された高湯温泉は日本有数の硫黄含有率を含む温泉で、高湯のお湯は生活習慣病予防や老化防止に高い効果があるという研究結果も出されました。
薬効ももちろんですが、高湯といえば白い濁り湯が魅力です。透明なお湯もいいですが、綺麗な色の濁り湯は「わー!温泉だ!」という気分に拍車がかかります。

そんな強力な薬効がある高湯温泉の中でも、今回泊まったのは「静心山荘(せいしんさんそう)」という宿です。
4部屋しかない、こぢんまりとした隠れ宿。まさに温泉を楽しむためにあるような宿です。
しかも一泊8,500円とお財布にやさしくて、美味しいものも食べられて、更に温泉は自家源泉!
行くしかないでしょここは!ということで予約しようとしたら、ネット予約はないみたいで、電話で予約しました。

宿の外観は取り忘れてしまったのですが、素朴な佇まいです。本当に山荘といった言葉が似あいますね。

宿の入り口はこんな感じ
ソファーもあるよ

チェックインすると、ご主人が部屋に案内してくれました。ちょっと朴訥な感じがしますが、実は色々と気さくにお話ししてくれます。
私たちは2階で、この日は3階にも一組お客さんが来ていました。

2階の奥の部屋
2階の手前の部屋
窓からの景色

広々と広がる緑。この周囲かなり広い範囲が、静心山荘さんの土地だそうです゚゚Σ(゚д゚) 
お散歩とかもしたかったけど、風邪にやられていて出歩く元気がなかったので……。

この宿のアメニティですが、浴衣、フェイスタオル、歯ブラシはありますが、バスタオルはありません。
冷蔵庫もなくて、宿には本当に必要最低限があるという感じです。お茶のポットやお茶はあります。トイレは共用です。部屋の横のトイレは清潔な洋式のトイレでした。
アメニティ類はそれで大丈夫な人はいいですし、そうでなければ持っていきましょう。私はバスタオルを持っていきました。ドライヤーは宿で借りられるようですが、借りるのが面倒ならば持っていくのもいいと思います。
wifiはあります。尋ねればパスコードを教えてもらえます。

部屋には鍵がついてないですが、大きなホテルでもなし、そんなに心配することもないでしょう。
コンクリの建物ではないので上からの物音などは聞こえまずが、基本静かですし、のんびり過ごすにはとてもいい宿です。

部屋の広縁のライトが切れていたのでご主人に言ったら、ライトを取り換えてくれました。
ご主人曰く、ここの電化製品は、硫化水素の影響ですぐにダメになるんだそうです。
「そこのテレビ、これも半年で壊れちゃうんだよね」
とのこと。それじゃあいい家電とか置けないですね……。
なかなか、そういった苦労があるようです。
私たちは東京から来たのだという話をすると、ご主人は以前、白金とかそのあたりでタクシーの運転手をしてたのだとか。もしかしたら近くですれ違ってたことがあったりして!?と、ちょっと意外でした。

そしてお風呂。
お風呂へは、宿の横の通路から、階段を上ります。

今回は、温泉に辿り着くまでに階段を上る宿が多いですね。とはいえこちらの階段は、健康な方なら辛い段数ではありません。お風呂場に辿り着く途中に、洗面所がありますので、歯磨きなどはそこで行います。

お風呂に到着
成分表 クリックで拡大できます

メタケイ酸も181mg入っていて、保湿成分もばっちりですね。
酸性-含硫黄-カルシウム・アルミニウム-硫酸塩温泉って、記述が長いですね。身体にいいものがいっぱい入ってるんですね(´∀`)

ひのき風呂

こちらが自家源泉の温泉!窓の向こうに見えるパイプでお湯を引いてきています。引くといっても、源泉は100mくらいしか離れていないらしいのです。

上には窓が

このお湯。白というより、ほのかに青みがかって見えます。素敵な色合い(*´Д`)
漂う硫黄の香り、酸性という割にはなんとなくまろやかに感じるのは、メタケイ酸とかのおかげでしょうか。
そして高湯のお湯はそんなに温度が高めのところが多いのですが、こちらのお湯は気持ち温め。ですので、比較的長く入っていられる……はず。
お湯の温度は温めなのですが、しばらく入っていると身体がポカポカしてきて全身が熱くなってきます。さすが硫黄成分が濃厚なだけありますね。
ただそのおかけで、温めのお湯なのに長い時間入り続けることはできませんでした。汗がだらだら出てきちゃいます。
ちなみにここ、隣が男湯ですが、湯船の下は繋がっています。カップルで入ったら、手を繋ぐことくらいはできそうですw
カランは一つ。シャンプーやリンスもあります。カランが黒くなってしまっているのは、硫黄成分が濃い場所での定めと言えましょう。

お風呂は、夜の22時で閉まってしまいます。ちょっと早いので、食後のお風呂はお早めに!
「朝は何時でも大丈夫ですよ。昨日のお客さんは4時から入ってました」と、ご主人。
いやさすがに4時は……(;・∀・)

そして夕飯時。
6時ごろにできますとのことで、時間になったら下からご主人が「できましたよー」と、声をかけてくれます。ご飯に呼ばれるとか、親戚の家に泊まりで出かけているみたいでほのぼのしますw

山の幸がいっぱい!
見た目も美しいテリーヌ

女将さんが作ってくれるご飯。ご飯というかもはやペンションのディナー!
お洒落で、これは女性なら喜ぶメニューです。
テリーヌだけではなく、ニンニクのきいた空豆も美味しかったし、トマトも不思議なくらい甘かったです。

丸ごと玉ねぎのスープ

この玉ねぎのスープとかも、女性のハート鷲掴みでしょう。ことこと時間をかけて煮込んだ玉ねぎが柔らか~い!

あさり一杯のお鍋!

ご主人がアサリのお鍋を出してくれた時に、
「どうですか?ここはお肉でないでしょ」
と、ちょっと誇らしげに言っておられましたw
電話予約時に、一人お肉がダメなので……特に牛肉が……と言ったところ、ご主人が「うちは肉はあまり出ないですよ。特に牛は出ません」と、いう会話があった流れからです。
今回はそういうわけで、お肉がなかったのですが……。隣のお客様も一緒のメニューでしたので、もし肉好きだったら……すみません……(>_<)。食べながらちょっとドキドキしてしまいました。

タコのカルパッチョ
メインディッシュはお魚

懐にやさしいお値段の宿のはずなのに、ちっとも胃袋には優しくなかった!(>_<;
なんというボリューム!もうお腹がはちきれそうです~。

お腹いっぱいだけど、このメインのお魚プレートのナッツのソース。これが美味しかった!
ナッツに味がしみ込んでいて、淡白なものによく合います。
これだけでもいいからもっと食べたいと思いました(*´Д`) お腹いっぱいなのに。

食事の後女将さんに氷水のポットをお願いして頂いたのですが、お料理のことも少し聞かせていただきました。
崩れないように玉ねぎを軟らかく煮るのはちょっと大変なのよ、とか、ナッツのソースにはアーモンドを使っているとか。にこにこ笑顔で答えてくれるのが素敵でした。

そうそう。寝る前に蚊が飛んでいたので、叩き潰しました。
ここには蚊取りがないので、念のために携帯式とか、プッシュ式の蚊取りを持っていくといいかもです。飛んでたのはその一匹だけだったので、その後は大丈夫でした。

翌朝。

「朝風呂だぜ」

朝のお風呂。朝は特にお湯が青く見えて、その色の綺麗さにうっとりします(人´∀`)
のんびり入るには適温~。
しかしもっと入っていたいのに、しばらくすると身体はポカポカのあつあつに。
見ると、お風呂に浸かっていた部分が、赤くなってるんですよね。ここのお湯って強ポカポカ成分が何か入ってます、きっと。

朝ご飯も、「できましたよー」と、下からご主人が呼んでくれます。

鮭とか、とろろとか、温泉卵とか、これはもうザ・朝ご飯!
優しい味なのに、胃袋には優しくなかったです。量的に。(;・∀・)

この日はちょっと観光したいところがあったので、チェックアウトの10時より一時間早く宿を出ました。
帰り際にご夫妻と「これから雄国山にニッコウキスゲを見に行くんです」と、話をしたらそういった貴重な植物の話になり、ご主人が
「ここの先のスキー場の上とかにも、(名前忘れちゃった)の花が咲いていてそれは見事だったんだけど、TVで取り上げられたら、人が一斉に押しかけてきて持って行ってしまった。だから一日3時間ずつかけてそれを他の場所に移していたんだけど、結局そこも取られてしまった。この辺りを人が歩いていて珍しいな、と思ったら、ビニール袋一杯にその花を入れてるんだよ」
と、おっしゃってました。
メディアの功罪ですよね、こういうの。有名になるのはいいけど、モラルのない人たちに採りつくされたりして。功罪っていうか、こうなってはもはや罪でしかないですけどね……。

最後は女将に手を振ってもらい、チェックアウト。
こういう部屋数が少ない宿っていうのも、宿のご主人や女将さんと色々お話しできて、いいものですよね。
ありがとうございました!

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