始まりと終わりの象徴 アリゾナ記念館と戦艦ミズーリ[ハワイ 10]

始まりと終わりの象徴 アリゾナ記念館と戦艦ミズーリ[ハワイ 10]

パールハーバーの奇襲でアリゾナが転覆し、戦艦ミズーリの上で日本は降伏文書に調印しました。
今回はその始まりと終わりをたどっていきます。

太平洋航空博物館を後にして、戦艦ミズーリに。戦艦ミズーリは、太平洋戦争の降伏調印の場になっています。

バスを停めた場所から、ミズーリに向かう途中にある、戦艦オクラホマの慰霊碑。真珠湾攻撃で転覆し、20名の士官及び395名の兵士が死亡、行方不明になりました。

戦艦ミズーリとミニッツ元帥

ミズーリは一度はお役御免なったものの、湾岸戦争まで現役で活躍しており、そのため艦はそんなに古くはありません。

甲板に上がると、ミズリー専属のガイドの人が二組のツアーをまとめて案内してくれました。

戦艦の幅33mとは、スエズ運河(34m)を通れる幅なんだそうな
前に16インチ砲6門
この迫力!
何もかにもが大きい!

次は、神風特攻隊のゼロ戦が突っ込んて来た場所に。

真ん中らへん

写真の真ん中あたり、少しへこんでいますね。右舷甲板に突撃してきたのだそうです。
他の機が撃ち落されていく中、唯一突っ込んできたのですが、既に爆弾は投棄されたのか持っておらず、本体だけでの突撃でした。燃料に引火して火災が起きましたが、すぐに消し止められたのだか。
でも、戦艦って本当に頑丈なんですね。右舷甲板にこのくらいのへこみしかできないなんて。

特攻してきた兵士のちぎれた上半身を、最初アメリカ兵は殴ったり蹴ったりしていたようですが、ウィリアム・キャラハン艦長が、彼もまた祖国のために戦ったのだと、それを制したそうです。
その夜、兵士たちが日の丸を作って、アメリカ兵が自国兵士にするのと同じように、国旗を上にかけて翌日水葬しました。

足跡のついている場所が、その場所だそうです。

甲板には調印のレプリカが飾られていました。

各代表の署名。左の真ん中より少し下、一列空白になってます。

調印式の時、日本から参加する一人が足が悪かったので、9時ピッタリに式が始まるようにアメリカ側は何度もシュミレーションして日本団の到着時間を決めたしたのだが、それでも2分遅れてしまったとか。各国代表が署名したとき、カナダ代表が一段下のフランスの場所に署名してしまったとか、そういった話が伺えました。

その後、ミズーリを降りてから海軍カレーをいただきます。


これはミニッツが東郷平八郎と誼を結んだことに由来しているそうです。東郷平八郎といえば、日本海軍にカレーを伝え、シェフにシチューを作らせようとしたら、肉じゃがが出来上がったことは有名です。
海軍カレーは甘口で豚肉がたっぷり入っていて、子供でも喜んで食べられそうな味でした。

その後は、アリゾナ記念館に向かいます。


ビジターセンターに入ると、お土産屋さんや真珠湾攻撃の展示などがあります。こちらの展示は全部英語なので、理解は諦めて展示物や映像などを見ていました。大政奉還や西南戦争みたいな絵もあって、日本が近代化していく過程なども説明されているようでした。

中はこんな感じで広い


アリゾナ記念館に行く前に、指定された映画を20分ほど見るのですが、英語のみなので、日本人は爆睡している人が多かったです。
その後ボートに乗って、アリゾナ記念館に。アリゾナ記念館は、戦艦アリゾナの沈んでいる海の真上にあります。


白い建物の下にはアリゾナの錆びた船体を見ることができます。

船体からは今でも油が浮き出ていて、水面に虹色の紋が出ていました。

すぐ足もとに船体が沈んでいます

このアリゾナは真珠湾奇襲で、船員の大多数を失った艦なのですが、いまだその多くは水の中で眠ったままだそうです。
建物の奥には、乗組員だった人の名前と階級が記されていました。人は多かったけれど、そこはとても静かな空間に感じられました。

ここは他とは違って、静かな、ただ静かな空間でした。
冥福を祈りながら、その場を後にしました。

またボートに乗って戻り、ビジターセンターに展示されている回天を見に行きました。

人間魚雷 回天

回天は、神風特攻隊の潜水艦版です。思っていたよりは大きかったですが、中を覗くと、狭くて、シートらしいものも全くなくて、本当にただ配管の間に座っていくような造りで、座席とかそういうものを考慮する必要がない、本当に使い捨ての片道通行の潜水艦なんだと思うと、とてもやるせない気持ちになります。

当時のゼロ戦のエースパイロットか誰かが「どんなに過酷な戦闘でも、帰ってこられる希望があるならいいが、帰ってこられないようなものはだめだ」と言っていたとかいうのを思い出します。

ビジターセンター内には、潜水艦の資料館もあったのですが、そちらは有料になります。時間があった寄りたかったのですが(以下略)。

潜水艦の資料館
アリゾナの錨 大きい!

色々と思い馳せることができたオプショナルツアーでした。

一方、一緒に行った中で一番若い子は、こういったことに全く興味がない様子でした。後半は起きてるだけでも辛いような、なんでこんなつまらないところに来てしまったんだろう、みたいな強い不満を身体全身で表現していたので、少し申し訳ないなと思ったのですが……。このツアー、かかるお金も安くないしね。
しかし、今の若い子ってこんなものなのかしら……(´・ω・`)

ケント・ギルバートさんが、アメリカの学校で歴史を教わると、みんなアメリカが大好きになると言っていましたが、日本ではそういった国を誇れるような歴史教育を一切していませんよね。これがそのなれの果てなのかなぁ、とGHQが残した呪いの一つを目の当たりにしたような思いでした。

日本の初代天皇は誰と尋ねても、まともに答えられる人がほとんといない国になってしまったのは、嘆かわしいことだと思います(初代天皇は、神武天皇です)。日本という、世界のどこよりも歴史のある素晴らしい国に生まれたのだから、もう少しその恩恵を感じ、誇りに思うことのできる人が増えたらいいと思うのですけれどね。

あと思うのは……。
やっぱり旅行って、趣味の合う人と行ったほうがいいなーって……w
もしくは露骨な態度を取らない、普通に気配りのできる人。
今までの旅行は大人な人たちと行ってたので、そんなこと全く気にかけなかったわけですが。

今日は色々と考えることのあった一日でした。

前の記事:ハワイの太平洋航空博物館では、自国の戦闘機ではなく、ゼロ戦が一番最初に展示されている[ハワイ09]

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